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ソーシャルブックマークが個人ニュースサイトに与えた影響 / まなめ
 ソーシャルブックマークが登場したとき、いくつかのブログで「ソーシャルブックマークは個人ニュースサイトを脅かす存在になる」と叫ばれました(参考リンク参照)。しかし、はてなブックマークが登場(2005年2月10日)して一年以上が経った今、実際どうなっているのでしょうか。はてなブックマークが個人ニュースサイトに与えた影響で、私が感じたことを書いてみようと思います。

1.ソーシャルブックマークは個人ニュースサイトから「速報性」を奪った

 第一にこれを痛感しています。たった一人のスーパー管理人と数多くのブックマーカー、どちらが良い情報を早く見つけることができるかと言われたら圧倒的に後者でしょう。実際、はてなブックマークを常時眺めていると、アクティブなブックマーカーは24時間PCの前にいるのか?と思わせるほどです。逆に、以前はこのニュースサイトの管理人はいつ寝ているのだろうと思うほどに良く更新されたサイトがいくつかありましたがが、最近はそのようなサイトが見られなくなったように思われます。無論どちらが良いとは限りませんが、はてブの速報性には驚く今日この頃です。

2.ソーシャルブックマークによって多くの人が個人ニュースサイトの楽しさを知ることができた

 はてブは楽しい、こんな楽しみ方があったのか。そう思った人もいるでしょう。その楽しさが個人ニュースサイトの楽しさです。かつては、個人ニュースサイトなんてニュースを並べているだけで何が楽しいの?と聞かれることがありましたが、最近ははてブ等により自分でニュースをクリップする楽しさを味わった人も多いと思います。また、はてブとニュースサイトの違いは「距離感」だと思います。ニュースサイト同士はアクセス解析やお互いが参照しあっていることをある程度前提にしているのに対し、はてブは同じニュースをブックマークすればブックマークしたユーザやコメントを一同に参照することができるでしょう。

3.ソーシャルブックマークと個人ニュースサイトのピックアップ基準の違い

 ソーシャルブックマークと一言で言いますが、全体と個人では全然違います。全体を見た場合、注目のエントリーのような不特定多数のユーザによる多数決で集まった記事が並びます。しかし、ユーザが多いことは長所であると同時に短所でもあり、情報の方向性が非常に分散してしまいます。私自身、誰もが興味を示す記事には興味の強さは弱いとも思っているため、どうしても質の高さにおいて劣ってくるような気がするのです。しかし、個々人のブックマーク(例:Web街道を逝く)という点で考えると個人ニュースサイト同様に、ピックアップの基準はたった一人の判断に依存します。ブックマークとニュースという違いはあれど、興味を持ったという点で同じに考えると、そう大差はないのかもしれません。しかし、大差はないといってもソーシャルブックマークが個人ニュースサイトへの新規参入障壁になってるとも思いにくいのです。

4.ソーシャルブックマークと個人ニュースサイトにおけるニュースの寿命

 個人ニュースサイトと言えば津波アクセスでしょう。はてブも上位になればある程度のアクセスを発生させることができますが、大手と呼ばれるニュースサイトにはまだかなわないのが現状だと思われます。また、個人ニュースサイトにおける津波アクセスの引き波が早いのと同様に、はてブの注目のエントリーも一日単位で更新されるため継続的なアクセスの発生は難しいと思われます。個人的には、情報の伝播のスパンが短い分、はてブの方が寿命が短い気がします。さらに、ニュースサイトで見られる同じ情報の再燃。まだ一年とちょっとしかたってませんが、はてブでも以前盛り上がったエントリが再び注目のエントリーに舞い戻ってくるケースも見かけるようになりました。ニュースの寿命という点では非常に似ているように思われます。

5.ソーシャルブックマークが個人ニュースサイトを超える日

 ソーシャルブックマークと個人ニュースサイト、超える超えないの前に立ち位置が違うような気もしますが一応考えてみました。最近思うことなのですが、私にとってまなめはうすは、私個人のポータルサイトだと思うのです。自分が気になるニュースが並んでいて、自分が使うリンクが並んでいて、私の興味あることにはここからすべて辿れるような気がするのです。しかし、これらは全部自分で揃えているんです。これを-例えばAmazonがおすすめの書籍を教えてくれるように-自分の興味あるニュースの傾向から、私が好みそうなニュースを自動でピックアップしてくれるような機能ができたら、そんなポータルになったら個人ニュースサイトを超えたといってもいいと思うのです。もちろん、はてブにも大きな弱点があり、タグのグルーピングができないため関連記事をまとめるのが難しく、また情報の流れを追うことができません。時間軸に関するサービスが付加されることがあったら、大化けするんじゃないでしょうか。

 もしこのような形で個人ニュースサイトがソーシャルブックマークに駆逐されるような日が来たら、個人ニュースサイトの次の時代を担うのはまとめサイトになると思います。現在、最も勢いのあるものは2chまとめブログでしょう。これは、数多くあるスレの中からおもしろい部分を抽出し消えてしまう前にブログに転載して残すという、非常に速い流れの中からおもしろい部分を抽出する時間的まとめサイトです。しかし、今後はある一つのテーマにおいて数多く存在するブログの中から優良記事をまとめ上げる-例えばトラックバック論まとめのような-場所的まとめサイトが必要になってくるような気がしました。

 最後に、私は現在ソーシャルブックマークを自分のニュースサイトの情報源として活用しています。そのソーシャルブックマークが個人ニュースサイトを超えるようになったらそれは非常に喜ばしいことだと思います。良いニュースが適した人に伝わること、これが一番喜ばしいことだと思います。


◎参考リンク
ARTIFACT ―人工事実― : 個人ニュースサイトを運営する楽しさはソーシャルブックマークに吸収される
FPN-ニュースコミュニティ- ソーシャルブックマークはニュースサイトをコモディティ化する
歌う脳髄 - ソーシャルブックマークは孫ニュースサイトを駆逐するか?
歌う脳髄 - ソーシャルブックマークは羅列型ニュースサイトの代替たり得るか
304 Not Modified: ソーシャルブックマークを用いて個人ニュースサイトをやる価値はあるのか。




あとがき。

 今回のお題は「mixiってどーよ?」だったのですが、私自身 mixi はアカウントを持っているだけで使ってません。そこで、SNSだけでなくSBMまでOKということでしたので、後者について書かせていただきました。しかし、せっかくの機会なので mixi にも軽く触れておこうと思います。

 ブログとSNSで一番違うのは、Googleの監視下かそうでないかだけだと思っていました。しかし、YouTube のような公開型SNSは検索にもかかるし、多くのブログシステムで用意されているプライベートモードは当然のごとく検索にはかかりません。mixi の特徴である足あと機能も、楽天ブログをはじめ多くのブログに導入されてきているし、コミュニティ機能もはてなにはグループ機能があります。ここまでくると、ブログとSNSの違いはほとんどないのではないかと思うほどです。そんな中で mixi が優れていると思うところは、「ユーザ間の距離を一定に計ることができるところ」「利用者層が他のサービスと比較して若い」「アクティブユーザの比率が高い」あたりでしょうか。特にユーザ間の距離の部分は、ブログよりは身近感のあるところが特徴でしょう。mixiにはまるかはまらないかは、その距離感を心地よく思うか、窮屈に感じるかの差なのかなと思っています。
by text_project | 2006-04-25 00:17 | まなめ
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