失敗談 / yujiro
とある晴れた日。
うちのさつきのお腹も随分目立ってきた9月。
俺たちは友人夫婦と3組で西鉄電車大牟田線で天神へ向かっていた。
1組と2組に分かれて窓際の横長の椅子に向かい合って座っていた。
まばらに立ってる他の客の隙間から向かいに座った夫婦の奥さんが少し声を大きくして話しかけてきた。

「さつきちゃん、もうすぐやね」
「うん」
「でも早いよねぇ、私なんかまだまだ子供とか考えられんよ」
「ちょっと皆より早いけどね、若いお母さんお父さんもいいもんだよ」
「ユージローくんはまだいいよ、大変なのは母親であるさつきちゃんなんやけんね絶対」
「うん、そりゃそうかもしれんけどさ…」
「ねね、どうして今子供作ろうって思ったと?」
「え?今回?あのね、ユウちゃんが失敗したと」

電車の中で揺れるお客さんが一瞬止まった気がした。

「ええっ、そうなぁ~ん?!」
「そうよ、ユウちゃんが失敗したとよ」
「こ、こらっ、大きな声で言うなって!」
「ユウちゃんね、気持ちいい思いだけしてね、失敗したとよ」

絶対お客さん全員の耳がこっちを向いてる。

「な、何言いようと?!気持ちいいのはお前だって…
 痛っ!!あーっ、何するわけ?!買ったばっかりの靴やのにぃー」

これがまだ妊娠初期だったらもっと細いヒールだった。
ちくしょう、社内中の目が俺を失敗した男という目で見ている。
ほら、あそこの男、失敗したんだって。絶対そう言ってるあのカップル!

「お、お前だってあん時すごく気持ちい…
 アイターッ!!痛ってぇ~!! 」

ちょうど電車が天神に着いた。

「こ、こらぁ、ま、待てっ、待ってってばぁ!!」
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by text_project | 2006-03-14 18:02 | もそ&yujiro
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